カンヌ国際短編映画祭は、南フランスカンヌで開催される国際的でユニークな映画祭です。国際的に有名なアーティストや映画製作者によって、新進気鋭の若い才能を見出し紹介する機会として創設されました。そこで紹介される高品質の短編映画は、多くの作家たちの映画や芸術でのキャリアの成功の出発点になるもので、40分以内のあらゆるジャンルの映画を受け入れています。 フランスは 100年以上にわたって映画に大きな影響を与えてきました。またフランスでは毎年約200本の長編映画が制作されています。力強く革新的な映画の伝統とは別に、フランスはヨーロッパや世界中からアーティストが集まる場所でもあり、フランス映画と外国の映画と絡み合う機会ともなっています。今回制作した映像作品「Peri」が2022年度の「ベストエクスペリメントフィルム賞」にノミネートを受けました。
映像作品「Peri」は日本の伝統衣装である和服の文様や日本舞踊の舞を作品の核とし、様々な光の織りなす日本の幻想的で妖艶な世界観をその映像の中で表現しています。日本舞踊は、平安時代の白拍子の舞や猿楽にもルーツを持ち、18世紀の江戸時代の天明-天保年代に生まれた上方舞で、日本人の心の内を花鳥風月や景色に託す抽象的な表現として伝えられています。作品ではそれら日本古来に伝わる伝統的な色彩美と、現代のメディアアートを融合した新しい映像表現が試みられています。また本作品は現在世界12カ国の博物館や映画祭にて上映されています。
【 佑季 Yuuki 】
東京都出身。幼少より茶道師範の祖母に師事し、清泉幽茗流煎茶道奥伝取得。舞踊を修得。大学では建築を専攻。東京藝術大学大学院 美術研究科在学中より和の素材を用いたパフォーマンス、写真、映像等で自身の創作活動を行い、国内外の芸術祭や映画祭で作品を発表。映像作家と共同制作したダンスフィルム作品は2013年から2019年にかけ、NYの彫刻庭園やドイツのルートヴィヒ美術館など世界13カ国16都市の国際ダンス映画祭で上映。その他、ヨーロッパの雑誌への出演やファッション誌の表紙を飾るなどモデルとしても活動。FMラジオのDJとして世界の音楽を発信。旅、カフェ、建築についての写真、コラムの寄稿など幅広く活動している。
(主な著書)
空間が美しい札幌のカフェ(マイナビ出版)
北海道建築さんぽ 札幌、小樽、函館(エクスナレッジ)